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Crosby Moor Garage

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エグゼクティブサマリ

電気自動車、最新のネットゼロ・エネルギービル、再生可能エネルギーを有効活用したスマートグリッドが一体となることで、革新的な、クリーンで安価な電気の使用と移動が可能となる。 これが、スマートガレージのビジョンに他ならない。 しかし、どうすれば、このようなビジョンを達成できるか? RMIは、民間企業25社のほか、大学、非営利団体、国立研究所など、スマートガレージへの移行で影響を受けると思われる組織から80人を、RMIが主催するシャレット(charrette:学際的な集中デザインワークショップ)に招いた。スマートガレージを成功裏に達成するための最も重要な障害は何かを洗い出し、その障害を克服するには何が必要かを討議するためである。
1.  短期的なビジョン:最初の一歩 プロローグで描いたような将来のスマートガレージを想像するだけなら簡単だが、どうすれば、そこにたどり着くのかを考えるのは、そう簡単ではない。シャレット参加者は、討議の末、1つの明確な短期的なビジョン:V1Gを作り上げた。 V1Gは、高度に統合されたシステムでありながら、かなり早急にスマートガレージの利点の多くを得ることができる洗練された、1方向の(V2Gが目指す、EVのバッテリーの電気を系統電力に戻す、逆方向の電気の流れはない)システムである。 V1Gは、(簡単で安価であるとは言わないが)、V2Gと比べればコストも安く、複雑度も低いので、今後2~5年で実が可能なビジョンとなっている。 
2.  価値連鎖の深堀り:誰がステークホルダーか? スマートガレージでは、様々なステークホルダが複雑に関連し、それらが1つの生態系を構成している。RMIは、スマートガレージ生態系を5つの主要要素に分けて検討したが、それぞれについてシャレットで得られた洞察結果を示す。

  • 消費者:スマートガレージ推進力の源泉は、消費者が何を求めているかを見極めることである
  • 自動車とバッテリーメーカー:自動車とバッテリーメーカーの価値連鎖を分断することが重要である。そうすることで、自動車メーカーはEV用バッテリー開発リスクから開放され、バッテリーメーカーも、開発資金集めの革新的な方法を模索できる
  • 充電場所:EV充電インフラを構築することに潜在的に高い価値があるが、誰が投資するかが問題。 政府、電力会社からベンチャー企業まで、候補者は存在する
  • (エネルギー用、データ/情報交換用、および支払いサービス用の)仲介者:このグループは無限に近い新しいビジネスモデルを生み出す可能性を秘めており、とりわけベンチャー企業からの参加が見込める
  • 系統連係:電力会社の利益を生む分野だが、その代わり、インフラ整備、消費者へのインセンティブ提供、バッテリーへの投資などが期待される

  3.  克服されるべき障害トップ5  シャレットでの検討で最も価値ある結果の1つは、洗い出した多くの障害をふるいにかけてトップ5に絞り込み、それを解決する具体的プロジェクトを開始できる程度までに解決策を検討したことである。 次の表に、その概要を示す。 以上、Smart Garage Charrette Reportのエグゼクティブサマリの部分を紹介しました。 スマートガレージ実現のための障害トップ5と、それらに対してどのような解決策を考えたかが紹介されています。 次回は、本レポートの第1章部分について紹介したいと思います。