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Outbuilding of Stoney House, Stoney Lane

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V1G実現に向けては、電力会社、自動車メーカーは言うに及ばず、市民のリーダー、基盤プロバイダー、コネクター(仲介者あるいはアグリゲーター)、ソフトウェア/ハードウェア・プロバイダー、標準規格団体、小売業者と車/住宅所有者は、統合した通信と充電インフラをつくるために協働しなければならないが、この短期的なビジョンであるV1Gが実現すれば、世の中はどうなるだろう? V1Gにまつわるビリング、エネルギーサービス、データサービスその他の新システムを提供するためにニューベンチャーとその製品が、市場にあふれるだろう。スマートメーターを備えた家庭では、電気料金が安いとき、EVへの充電を行う。新築の家には、EV充電設備を設置することが義務付けられるかもしれない。そして、どこでもEV充電が可能となるよう、新たな規格が制定され、電気が足りなくなれば、公共の充電スタンドでEVへの充電が可能となるだろう。 これを可能とするためには、以下が必要である:

  • 自動車メーカーは、xEVの量産体勢に入り、xEVで収益が出るようになっていること(xEV販売台数が、V1Gの成否を測る目安となる)
  • 消費者は、移動することは言うに及ばず、エネルギー使用と安全にxEVが如何に貢献するか注目しているので、これらに応えるようなxEVが販売されること
  • 電力会社および規制機関はxEVを歓迎するものの、価格操作や技術的な制御によってピーク需要時のEV充電を阻止しなければならない(さもなければ、新たな配電/発電容量の確保が必要となる)
  • xEV普及のためには各地に簡便で魅力的なEV充電設備が設けられること
  • 相互運用性を保障するため、必要な情報流に関する国内外標準を定め、車が電力会社(あるいは接続サービスを提供する第3者機関)と、ほぼリアルタイムでメッセージの授受を行えること
  • 基本はレベル1(通常充電)であるとしても、レベル2(急速充電)可能な設備も普及していること
  • 環境(大気汚染)、運輸(燃費)、エネルギー(電気)その他の公共政策に関与する機関は協働して、縦割りではなく、新たな共有利益を達成すること
  • V1Gのビジネスにかかわるプレーヤー間でビジネスモデルが調和し、もっとも利益を上げるプレーヤーは、そうでもないプレーヤーの資金需要あるいは損失の穴埋めができるビジネス環境が構築できていること

更に、V1G実現のためには、以下も非常に役に立つ:

  • EV用のリチウム電池のコスト/耐久性の改善が引き続き行われる、あるいは、主に軽量化および航空力学的な改良によって、同等の燃費改善が見られること
  • 政府の補助政策が、できればEVから見た効率に重点を置いていること(少なくともニュートラルであること) 例えばバッテリーの補助金がバッテリー容量(kWh)ではなく、そのバッテリーを使うPHEVの航続距離に比例するなど
  • ガソリン価格が比較的高値安定で推移する、あるいは、公共政策によって底値設定が行われること
  • スマートグリッドが飛躍的に進化、大規模化する、少なくとも電力会社が顧客にもっとも有利なEV充電タイミングを知らせられるようになること
  • アンシラリーサービス/グリッドサービスとして個々のxEV(のバッテリー)やそれを集約したものを分散電力貯蔵装置として受け入れること
  • V1Gビジネスにかかわる1人以上の主要プレーヤーが、十分な収益あるいは先行者利益の機会を見出すこと
  • 規制機関が、V1Gの実現に必要な変革に対して了承すること

V1G をまず実現することによって、以下のメリットがある

  • (現在展開中のハードウェアは将来に備えて双方向制御向きに設計しておく必要はあるが)少なくとも、当面は双方向遠隔制御を行う必要がなくなる
  • グリッドは、(売電/買電)を制御するためのネットメータリングや、配電網に接続される大量の小さな発電機(=EVのバッテリー)を、当面考慮する必要がなくなる
  • 系統安定化のための高性能バッテリーの設備投資/新規開発を当面行わなくても良くなる

シャレット参加者およびRMIは、決してV2Gをあきらめろと言っているのではない。スマートガレージが、将来、V2Gにいくにしろ、それ以外の現時点では想像し得ないような世界に行き着くとしても、V1Gは、xEVが路上を走り、再生可能エネルギーをグリッドにもたらす、強力で早期実現可能な最初のステップだと信じているのだ。 以上で、Smart Garage Charrette Report 第1章が終わりです。 V1G実現に向けての要件の整理が行われましたが、ダイレクトにV2G構築を目指すのではなく、手が出る範囲でまずV1Gを達成しましょうということですね。それでも、十分ハードルは高いですが。 では、次回は、本レポート第2章をご紹介したいと思います。