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Spedding Drive

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第2章:スマートガレージの登場人物

スマートガレージはシステムのシステムとなるだろう。言い換えると、相互に連結した主要なステークホルダーのグループから構成される、巨大で複雑なシステムで、生態系に類似している。これらのプレーヤーは、かつて例を見なかったほど密に協働する必要がある。スマートガレージ生態系には、大手企業からベンチャー企業まで、製造業からIT企業まで、様々な企業が関与するが、これらは、大きく5つのプレーヤーに分類できる: ①自動車メーカー/供給元、②電力会社/送配電網運用者、③充電場所、④コネクター(仲介者/アグリゲーター)と⑤消費者である。 これらのグループの関係を、下記に示すが、図3中縦軸がグループの成熟度、横軸は消費者との近接度である。電力会社と自動車メーカーは最も成熟した産業の一つで、消費者とも強く結びついている。充電場所とコネクターは新規産業で、現状では物理的なインフラはまだ脆弱である。そして、ITサービスは離陸したばかりである。バッテリー供給者や再生可能エネルギー提供者などいくつかの産業グループは、スマートガレージの主役を演じるが、エンドユーザーと直接顔を合わせることはない。  ※ 図3拡大 次の図4は、ステークホルダーがどのように情報と対価をやり取りしているか、詳細に検討したものである。図中左側から右側に向けて、まず消費者から見ていこう。消費者は、電気ばかりでなく、自動車メーカーで製造されたEVを介して電力価格シグナルを受け取ったり、充電タイプと充電単価を確認したり、その他、最寄りの充電ステーションがどこにあるかなど、興味深い情報を受け取る。 財政的には、消費者はEV購入に当たって政府からEV普及奨励金を受けたり、民間金融機関の特別優遇金利の自動車ローンを受けたりするかもしれない。片方向通信のグリッドサービス機器の設置に当たって、コネクターやエネルギー関連業界は、設置費用を支払うかもしれない。消費者は、EV充電費用に関して直接電力会社に支払うかもしれないし、電力会社と契約している第3者機関であるコネクターを通して支払うかもしれない。これは、現在の携帯電話の状況とよく似ている。 ベタープレイス社のペイパーマイル(Pay per mile)プログラムやZipcar社のペイパーアワー(Pay per hour)プログラムのような仕組みを利用している場合、消費者は、充電に要した電気代のほかに、車の代金の一部を支払うことになる。支払い方法、充電方法、運転範囲から最適な方法を選択しておかなければならない。 更に先進的なプラグインシナリオでは、消費者はEVのバッテリーの電気を、建物(V2B)や電力会社(V2G)に売ることもできる。 充電場所は、コネクターと消費者の物理的なコンタクトポイントで、電気及び対価のやり取りは、そこで行われる。充電スポットは、基本的に電力の流れに関して消費者と他のアクターとの仲介者となる。もしその充電場所がインテリジェントなら、情報流に関しても仲介する。 コネクター(緑のボックス)は、色つきの線で示されるように、すべてのサービスを管理する。金銭取引が適正なステークホルダー間で正しく行われるようにし、そのようなサービス提供代金も徴収する。(今日のクレジットカード取引相当) コネクターは、また、価格、消費者の好み、電力会社の要求など大切なデータを管理し、これらの入力に基づいて、どのxEVにどれだけの電力をいつ充電するか制御する。コネクターは、充電ステーションにプラグインされている無数のEV(のバッテリー)を集約して、電力会社向けに需給調整可能な負荷:controllable demand(V1G)あるいは移動型電力貯蔵装置(V2G)として電力会社が有効利用できるようにする。コネクターに求められる最後の機能は、上記の情報交換においてセキュリティとプライバシーを確保することである。 図中、消費者につながる灰色のボックスは第3者企業で、このスマートガレージシステムが生成する情報を使って、新しいサービスを提供する。例えば、車のスマートガレージ通信機能を利用して、ユーザが許可を与えれば、現在車がいる地点に関連する広告を送ったり、交通情報を提供したりする。 シャレット参加者は、第3者企業が、まったく新しい、潜在的に非常に価値のある情報をスマートガレージ生態系に送り込むことができるのではないかと期待している。 最後に、電力会社、ISO、公益事業機関(PUC)、およびグリッドに関連する他のステークホルダーは、図中、右側に青のボックスによって表わされている。これらのステークホルダーは、電気に対する報酬をとり、信頼度の高い、効率的(特に電力価格)なグリッド運用をするために必要な情報のやり取りノコーディネーションを行う。V2Gと、V1Gの先進シナリオでは、電力会社は、コネクターや消費者が提供するグリッドサービスに対して対価を支払う。 図4.V1Gステップにおけるスマートガレージ・システムの概要 ※ 図4拡大 以上、Smart Garage Charrette Report 第2章の冒頭部分をご紹介しました。 スマートガレージのイメージが更に鮮明になったのではないでしょうか? 次回も、引き続き、第2章を紹介していきます。