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View of a Tasker B2 3-speed chain drive tractor (no name) in St Albans Steam and Country Show

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今回は、Smart Garage Charrette Report 第2章から、「コネクター」に関してワークショップで検討された内容をご紹介します。 ※以下の内容をご覧いただければわかりますが、ここでいう「コネクター」は、充電に使う電線などではなく、スマートガレージ生態系で何らかの「コネクター」の役割を果たすステークホルダーを意味しています。 では、始めましょう。

コネクターに関する考察

図7.コネクターの生態系 図7拡大 「コネクター」グループは発展途上のグループで、その定義はまだ極めて不明確であるが、広範囲で最も革新的な新しいビジネスモデルが生まれる可能性がある。スマートガレージ生態系の必須要素である、IT、ソフトウェア、データサービスが、このグループに属している。コネクターと充電場所は、スマートガレージ生態系の中できわめて相互依存度が高く、充電場所とのコネクションがなければコネクターはサービスを提供できないし、コネクターが提供するサービスなしでは、充電場所は、充電料金を請求できないからである。コネクターグループに属する企業には、V2Green/Gridpoint、クーロンテクノロジーズ、ベタープレイスなどがあり、コネクターと充電場所の両方の機能を持っている。また、コネクターに属する企業は、ニューベンチャー企業が多く、大企業と提携していることが多い。大企業では、なかなかそのようなハイリスクの分野に手出しできないからである。 図7に示したように、コネクターが提供するサービスは、4種類に大別できる。 ① 電気に関連するサービス(充電サービスと、グリッド向けのサービスを含む)、 ② 請求サービス(1台の車が多くの充電ステーションで、いろいろな電力会社から供給された電気を充電することを考えると、単純な処理ではない)、 ③ データ/情報サービス(充電ニーズ、ユーザーIDと好み、価格シグナルなどを含む)、 ④ および、セキュリティサービスである。 消費者がこれらのサービスを受けるのは、だいたい、あるコネクター企業の充電ステーションなど、消費者と関係のある物理的なポイントで、そのために、消費者は、1つ以上のコネクター企業と契約を行う。 コネクター企業は、電力会社と直接関係を持つことで、消費者と電力会社の間を取り持ち、より洗練されたエネルギーサービスを提供することが可能となる。 最後になるが、コネクターグループにもたらされる価値の多くは、このシステムにより作成された情報を利用するサードパーティサービス会社(図中グレーのボックス)によってもたらされる。 コネクターに関する検討で明らかとなったもう1つの重要な結果は、図7中、黒い四角で示されたインテリジェンスの分散配置である。車、家屋/ビル、充電スポット、グリッドなど、それぞれが知性を持ち、システムを構成しているので、スマートガレージは、それらのシステムからなる総合的なシステムとなる。そして、コネクターは、これらの「知性」のコーディネーターを勤める。 コネクターは、大いに成功する機会を秘めた1つのグループであるので、コネクター企業はスマートガレージを加速する主要なプレーヤーとなるだろう。 コネクターの生態系に関する検討結果のまとめは、以下のとおりである。 経費: 物理的な充電インフラを含間ない場合、低い 収益: 電気に関連するサービス、請求サービスのほかに、充電インフラを利用したマーケティング、データマイニング、徴税代行など、ニュービジネスのサービス提供者からの手数料収入まで、幅広い収入が考えられる 強み: 消費者とイノベーションにフォーカスした、多くの部門でのトレンドある情報のカストマイゼーションニーズに呼応する新たな仕事であること 弱み: ① 急速充電インフラおよびスマートグリッドの普及と、相互運用性を保障するための何らかの標準規格・制度の制定に依存している ② データベースを伴う「独裁者」の領域に近づきつつあり、思わぬところで資本経費の代価を支払う可能性がある 2大障害: ① 相互運用性確保のための標準規格作成と、作成過程での利害関係者の調停 ② どのように充電インフラ整備を行うか、充電インフラから代価を得るか コネクターに関する考察は、いかがでしたか?  スマートメーターを利用しデマンドレスポンスを実現しようとするスマートグリッド、ネットワークで認証・課金を行うEV充電インフラ、位置情報を利用したITS/テレマティックス、蓄積されていくリアルタイムデータを元に分析・シミュレーションを行うリアルタイム・ビジネスインテリジェンスの世界が、一堂に会し、正に、スマートガレージは「システムのシステム」となることが、実感できたのではないでしょうか? 本レポート内の囲み記事「Box7」として、最近コネクターとしても注目されているGridpoint社の話題が取り上げられていました。興味のある方は、こちらをご覧ください。 余談ですが、本日(9/3)午後8時からNHK BS3チャンネルでロッキーマウンテン研究所所長エイモリー・ロビンス氏をフィーチャーした番組:未来への提言「エネルギー学者エイモリー・ロビンス」が放送されていました。ご覧になった方はいらっしゃったでしょうか? 次回は、消費者サイドに関する、ワークショップでの検討内容を紹介します。