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SEP2.0はいつになるのかわかりませんが、OpenADR2.0が本格的に動き出そうとしています。

今回は、「OpenADR 2.0 Standard Will Fuel Automated Demand Response」というタイトルで4月27日、Pike Research Blogに掲載されていた記事をご紹介します。

例によって、全訳ではないことと、一部超訳になっていることをご承知おきください。

では、はじめます。

OpenADR 2.0標準、自動デマンドレスポンスの普及を加速

Marianne Hedin  2012年4月27日

従来行われてきたデマンドサイドマネジメント(DSM)では、人手に頼ったアプローチが取られてきた。系統の需給バランスをとるために、個々の顧客サイトのオペレータが、照明を消したり、空調を止めたり、その他の電力負荷機器を手動で操作していたのである。
自動デマンドレスポンス(以下自動DR)システムは、この前近代的なアプローチを塗り替えるもので、電力会社または、系統運用者や負荷削減サービスプロバイダ(Curtailment Services Provider:CSP)からの(系統需給ひっ迫度合いや系統トラブルなどの)イベントや、(系統の電力需要逼迫度に応じて変化する)電力価格の信号に数秒~数分以内に自動応答する。これは、産業用の大口需要家向けに、一部実施されてはいたが、広く使われてはいなかった。しかしながら、特定のメーカーに依存せず、オープンな通信標準に基づくOpenADRと呼ばれる標準の出現が、状況を一変させようとしている。

米国のローレンス・バークレー国立研究所(LBNL)のデマンドレスポンス研究センター(DRRC)が開発したOpenADRは、廉価で、スピーディー、信頼度の高い通信インフラを構築するための標準である。
インターネットのような既存の共通通信技術を利用して、電力会社や系統運用者等は、顧客サイトのBEMS(ビルディング向けエネルギー管理システム)と、直接DR信号をやり取りすることができる。

2005年、パシフィック・ガス・アンド・エレクトリック(PG&E)が、そのパイロットテストに成功したのを受けて、2007年、カリフォルニア州公益事業委員会(CPUC)は、同州の3大電力会社に対して、OpenADRの適用を要請した。このカリフォルニア州のDRパイロットテストを通して出来上がったローカルDR標準OpenADR1.0は、2009年、標準化団体のOASISに寄贈され、晴れて国内標準OpenADR 2.0が出来上がった。
OpenADRは、カリフォルニア州で先行して用いられてきたが、米国内の他の州でも電力会社や系統運用者が採用している。
例えば、アラスカ州のシアトル市営電力や、ネバダ州のNVエナジー、フロリダ州タラハシー市、オレゴン州のボネビル電力事業団。つい最近ではハワイ州のハワイアン電力でOpenADR採用が決まり、出力変動の大きな再生可能エネルギーを系統接続するに当たって、DRの有効性の評価をハネウェル社と実施中である。更に、国外では、カナダやスペインでソフトウェア会社がテストしており、中国と英国の電力会社もハネウェルの協力の下でパイロットテストを実施している。

自動DR市場でOpenADRという一つの標準が採用されるのは、技術開発コストを低減するばかりでなく、自動DRツールのメンテナンスを含むサービスコストも低減できるので、非常に喜ばしいことである。これまでのところ、60社を超えるビル管理のベンダーが、OpenADRを備えた製品を開発している。

また、OpenADRは、DSM時代のピーク削減に比べて信頼度・予測性の改善につながる。なぜなら、インターネット・ベースのインタフェースと通信標準を使用することで、従来電力会社の人間と、顧客サイトの設備管理者の間で行っていた伝達ゲームにおけるミスコミュニケーションを回避できるからである。
更に、メッセージ・フォーマットの標準化は、DRシステムの相互運用性、効率および信頼度を増加させる。

これらを鑑みて、米国標準技術研究所(NIST)および連邦エネルギー規制委員会(FERC)は、OpenADRをスマートグリッドの主要な標準の1つに認定した。また、電力業界全体で、この標準を開発・採用・順守するべく非営利団体OpenADRアライアンスが結成された。
同アライアンスのマネジメント・ディレクターであるBarry Haaser氏によると、OpenADR 2.0には、地球規模で自動DRを普及促進するポテンシャルがあると述べている。

OpenADR2.0については、現在、上記のブログでも言及されている標準化団体OASISのEI(Energy Interoperation) 1.0のOpenADR2.0プロファイル部分を読み進めているところですが、ご紹介するにはもう少し時間が必要です。

なお、今回のブログの原文では、冒頭DSMと訳している部分を、これまでのデマンドレスポンスプログラム(Demand response programs to date)のように表現しています。
スマートグリッドと関連してデマンドレスポンスが語られる際、従来のDSM(マニュアルによる負荷削減で電力会社主導)対DR(CPPのようなダイナミックな時間帯別電気料金制度を利用して需要家の意思主導での負荷削減)のパターンが多かったので、そのように意訳しましたが、今後はデマンドレスポンスプログラムというと、狭義のDRだけでなく、従来のDSMや、直接負荷制御、更には電力取引所でのネガワット取引や、リアルタイム市場でのアンシラリーサービス取引も含めて捉えた方が良さそうですので、お気を付けください。

終わり