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前回のブロックチェーンに関する話題はいかがでしたでしょうか? エネルギービジネスには関係のないフィンテック関連技術かと思いきや、TE(トランザクティブエネルギー)との相性がよさそうで、すでに電力小売取引への応用の実証も始まっているという話題でした。

本日は、来る3月24日開催予定のKNX Forum 2017についてお知らせします。

KNXに関して、これまで、このブログでいろいろご紹介してきました。

• 2013年  9月 5日: KNX、日本上陸に向けての動き
• 2014年 1月12日: KNXの相互運用性確保に向けた仕組み
• 2014年 3月21日: 日本KNX協会発足
• 2014年 7月23日: 2014年上期KNX活動報告
• 2014年 9月17日: DRとKNX-その1
• 2014年 9月22日: DRとKNX-その2
• 2014年 9月27日: DRとKNX-その3
• 2014年10月12日: DRとKNX-その4
• 2014年12月30日: 日本の中のKNX
• 2015年  5月 9日: KNX生誕25周年記念イベント開催予告
• 2016年11月22日: KNX関連イベント開催のお知らせ

昨年度(2015年)は、KNXが、その前身であるEIB(European Installation Bus)という規格が世に出て25周年ということで、10月20日に全世界36か国53会場でKNX生誕25周年記念イベントが開催され、日本でもイベントを開催させていただきました。

今回は、KNX協会が開発し2017年2月から提供を開始した「ETS inside」というソリューションのプロモーションの一環として、全世界22か国、34会場で3月から4月にかけて開催されるイベントの一環として開催させていただくものです。ただし、日本では、まだKNX自体が浸透していませんので、「ETS Inside」というソリューションにフォーカスしたイベントではなく、基調講演として、三菱地所設計の小笠原様より、「ビルディングオートメーションにおけるオープンプロトコルへの期待(仮題)」と題して、この分野で世界標準の1つとなっているKNXに絡めたお話をしていただき、広くKNXをご紹介するイベントとなっています。

また、日本KNX協会の一般社団法人としての登録完了が2014年11月25日ですので、法人登録完了からすでに2年4か月目に入っていますが、今回のKNX Forum 2017では、やっと、日本KNX協会員企業以外へのKNX適用事例をご紹介することができます。

プログラム詳細はこのとおりとなっております。

おかげさまで、残席はわずかとなっておりますが、ご興味をお持ちの方はプログラム詳細に記載させていただきましたURLより参加ご登録をお願いいたします。

 

本日は以上ですが、KNXイベントのご案内だけだと多少気が引けますので、以下、昨年10月パリで開始されたIEEE International Forum 「Smart Grid for Smart Cities:SG4SC」の講演資料から、欧州電気標準化委員会(Comite European de Normalisation ELECtrotechnique:CENELEC)Dr Bernhard THIES会長の「Promoting the interoperability of Smart Meters across Europe: the role of standards(欧州大でスマートメーターのインターオペラビリティを促進するにあたっての標準化の果たす役割)」の内容を抜粋してご紹介します。

※上記のハイパーリンクから資料をダウンロードしたのですが、背景色と文字色が重なって一部判読不能だったので、背景を消したバージョンンを作成しています。ご興味のある方は、こちらをご覧いただければと思います。

欧州におけるスマートグリッド関連関連施策に関しては、ブログ「DRとKNX-その1」の中でまとめさせていただいていますが、この資料の中でも、まず、CENELECの概要、位置づけと機能に関する紹介があった後、欧州におけるスマートグリッド/スマートメーター関連の施策が紹介されています:

  • 第三次EU電力自由化指令(Directive 2009/72/EC)で、スマートメーター導入の費用対効果を2012年9月までに行い、費用対効果が認められれば2020年までに最低80%スマートメーターを導入するよう要請された
  • また、拘束力はないがスマートメーター促進勧告(Recommendation2012/148/EU)も出された
  • 欧州標準策定機関(ESO)に対してスマートメーターに関する相互運用性を確保するためのEU標準化指令M/441が発令され、欧州標準制定機関ESO(CEN、CENELEC、ETSI)は、共同作業を実施するため、SM-CG(Smart Meter Coordination Group)を組織し、作業を開始した
  • M/441のアウトプットとして、2011年に、スマートメータリングシステムの通信アーキテクチャーに関するドキュメント「CEN-CLC-ETSI Technical Report 50572:2011 (Phase I)」がまとめられた
  • その後、M/441に関連して、インターオペラビリティに関する対応を盛り込んだ成果が2012年「SM-CG report」として公開された
  • SM-CGは、その後も活動を続け、プライバシー&セキュリティに関してPartⅠ~PartⅣのドキュメントを作成
    1) Smart Meters Co-ordination Group – Privacy and Security approach – part I
    2) Smart Meters Co-ordination Group – Privacy and Security approach – part II
    3) Smart Meters Co-ordination Group – Privacy and Security approach – part III
    4) Smart Meters Co-ordination Group – Privacy and Security approach – part IV
  • これらの作業と並行して、SM-CGでは、特にDRや分散電源運用に関連して、スマートグリッドの標準化組織(スマートグリッドに関する相互運用性を確保するためのEU標準化指令M/490に基づいて組織されたSmart Grid Coordination Group:SG-CG)と協調している

以前、「DRとKNX-その2」でSG-CGが作成した「DR機能アーキテクチャー(Demand Response functional Architecture)」の図を紹介しましたが、今回ご紹介した資料では、SM-CGとSG-CGのコラボレーションで、既存の標準をこのDR機能アーキテクチャーにマッピングした図が表示されています。

ご注目いただきたいのは、電力会社(Actor A)と消費者宅のDRイベントや分散電源制御の通信経路「General & commercial channel」に適用される標準としてIEC PAS 62746-10-1 (OpenADR)が記載されていることと、日本でいうスマートメーターからHEMSにわたるBルートの標準の1つとして、図中「H2」の上にEN50090(多分ペイロード中のデータ構造定義として、KNXのデータタイプの定義を使う?)が記載されていることです。 ここから、Bルート経由で負荷計測値を得ようとしているHEMSソリューションを欧州に輸出しようと考えている日本企業は、Bルートの通信プロトコルとしてIEC62056(DLMS/COSEM)とKNXの知識が必須ということがうかがえます。

最後に、欧州各国のスマートメーター展開スケジュールの情報がありましたので、再掲します。

欧州に比べて、日本のスマートメーター導入状況は、あまり早いとは言えません。DRの利用促進を図るためには、今一層の努力が必要です。

 

以上、今回は、3月24日開催するKNX Forum 2017の宣伝と、IEEEが昨年10月パリで開催したSG4SCのイベントからCENELECのThies会長の講演内容をご紹介しました。

 

終わり