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電気自動車の種類

電気を何らかの形で使用する自動車を電気自動車(EV)と呼ぶと、現在普通に使われているガソリン車も、エンジンに取り付けた点火プラグの電極で火花放電させ、気化したガソリンに点火するので、すべてEVと呼ばなければなりません。RMIのレポートでは、いろいろなタイプのEVを総称して「xEV」と表していますが、レポート第1章の続きに入る前に、自動車の分類をしておきたいと思います。 ICEV:現在の内燃機関自動車:Internal Combustion Engine Vehicle ICEV+Booster:加速の初期だけエンジンをアシストするような小さな電動機を設けた簡易ハイブリッド。コスト対効果の点からは注目すべきもので、欧州ではマイクロHEVと呼ばれている HEV:いわゆるハイブリッド車

  • パラレルHEV:エンジンからの動力と電気系の動力が並列に出力される
  • シリーズHEV:電気自動車の電池を小容量のエンジン発電機で間歇的に充電する形式
  • 複合HEV:遊星歯車を利用した動力分配機構を持った動力分配式と、パラレルHEVにクラッチを設けて動力の流れを切り換える動力切り替え式がある

BEV:いわゆる電気自動車、Battery Electric Vehicle BEV+Range Extender:基本はBEV。走行距離を伸ばすため、搭載されたエンジン発電機でバッテリー充電を行うが、駆動軸には直接、駆動力を伝達しない PHEV:外部充電機能付のハイブリッド車

図.2電気自動車の分類(最大化)

※ 以上、『エンジンテクノロジーレビュー』20094月号の記事「電気自動車とHEVの現状と今後の展望」を参考にさせていただきました。 ※ RMIのレポートの中での「xEV」は、上図の下段で示した、EVおよびPHEVの範囲の車を意味すると考えられます。 では、説明に必要な下準備が終わったので、第1章の続きを紹介しましょう。  

スマートガレージの短期ビジョン:ピースの拡大縮小とつなぎ合わせ

将来のスマートガレージを想像するだけなら簡単だが、どうすれば、そこにたどり着くのかを考えるのは、そう簡単ではない。スマートガレージというジグソーパズルのあらゆるピースが今日すでに存在するが、それらをどうつなぎ合わせるか、つなぎ合わせるために、どのピースをどう拡大・縮小すれば良いかが問題となっている。ここでは、スマートガレージ実現のために必要な短期的なステップ、予想される障害、およびそれを克服するための戦略について概説する。 車、バッテリー、通信技術、および全国に張り巡らされた送電網は、車を建物のエネルギー管理システムやグリッドに接続するために必要な機能とサービスをサポートするのに十分なレベルに達した。 車の電動化は自動車産業部門で新たな有力なトレンドになりつつあり、十指に余るxEVが米国内自動車会社の生産ラインに乗っているほか、更に多くのxEVが登場予定である。リチウムイオンバッテリーも初期の商用化の準備が整った。(ただし、まだこの業界のリーダーは定まっていない)。 また、アメリカ全域で送配電網が、デジタルセンサー、スマートメーターと、先進的な通信技術に基づく「インターネット時代」のグリッドに変身しようとしている。120ボルトのコンセントを使ったPHEV用の充電インフラも出来上がった。 では、第1世代のスマートガレージはどんな感じになるだろうか? この後5~10年のうちに、ジグソーパズルのピースはうまくかみ合うようになるだろうか? 表2表3に、xEVと建物、グリッドがどのように相互接続されるか、プラグインの違いを基準にした6つのシナリオV0G~V2G NGUの概要を示した。6つの中には、単純な充電や、(1990年代に電力会社がオフピークの電力需要を喚起するために採用した電気料金制度と同じ)時間決め充電から、一足飛びに、xEVを移動型電力貯蔵装置としても活用し、双方向に電気を流すものまで様々である。 この中で、シャレット参加者は、短期的ビジョンはV1Gであるという合意に達した。 高度に統合されたシステムでありながら、かなり早急にスマートガレージの利点の多くを得ることができる洗練された、単方向にしか電気の流れないシステムである。 シャレット参加者の1人は次のように言っている:一番のポイントはスマート充電の重要性だ。スマート充電は、顧客に柔軟性を与え、魅力的な料金を提示し、供給電源(できれば再生可能エネルギー)の供給能力と充電需要をマッチさせ、グリッドに余分なストレスを与えず、余分な発電機を必要としない。 この驚くほど魅力的な短期的解決策:V1Gへの収束は、次の5つの主要な発見に基づいている: 要するに、V1Gは、(簡単で安価であるとは言わないが)、V2Gと比べればコストも安く、複雑度も低いにもかかわらず、相当な利益を提供すると考えられたので、今後5~10年先に実装可能な短期的ビジョンに選ばれたのである。 V1Gを目標とすることで、シャレット参加者は、スマートガレージを「将来起きる何か」についてではなく、「現時点で開始している何か」について話し合うことができた。

  • まだうまく統合されていない初期バージョンのスマートガレージ:V0Gでは、(特に電力需要のピーク時)グリッドにとって致命的なリスクを孕んでおり、逆にスマートガレージがもたらすであろう多くの貴重な利点を逃している。
  • TCは、V0Gを少し変形してグリッドへのリスクを軽減したものになっているが、これで完全にリスクを回避できるわけではない。また、V0G同様、スマートガレージがもたらすであろう多くの貴重な利点を逃している。
  • V1Gは、バッテリー負荷に付随するストレス、困難なグリッドへの逆潮流制御や、システムの高度な洗練化なしに、V2Gがもたらすであろう利点の多くを達成することができる。
  • V2Gは、再生可能エネルギーが電力供給の大半を占めるようになった暁には、潜在的に貴重なエネルギー貯蔵とグリッドサービスの利益をもたらす。したがって、将来的にもEVとの間で充・放電の双方ができないようなインフラ/技術を採用すべきではないが、現段階での採用は時期尚早で、バッテリーおよびグリッド技術の成熟が待たれるところである。
  • V2Bは、V2Gに至る魅力的な経路を提供する。なぜなら、建物を仲介者あるいはアグリゲーターとすることで接点を減らすことができ、結果的に複雑度を軽減できるので、多くの問題を回避することができるからである。

  以上、Smart Garage Charrette Reportの第1章 スマートガレージの短期ビジョンとxEV、VxGについて紹介しました。 次回は、更にV1Gを掘り下げていく部分を紹介したいと思います。