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久しぶりのブログ更新となってしまいました。

年が明けてから、年間プロジェクトのレポート作成に加えて、インターテックとして受託した調査作業の締め切りが3月だったにも拘わらず、SmartGrid Expoへの日本KNX協会としての出展(およびExpo会場内でのセミナー実施など)で時間をとられてしまい、2月、3月は休日返上でレポート作成作業に当たっていましたので、とてもブログにまで手が回らない状況でした。 4月は少しゆっくりさせていただき、やっとブログに戻る心の余裕が出てきたところです。

そのような、こちらの都合に合わせてくれたということでもないでしょうが、このブログでフォローしようとしていた「FERCオーダー745無効判決事件」に動きがありました。

Utility Diveが5月4日付けで「Supreme Court to hear FERC Order 745 case over demand response rules」との最新状況を報じてくれています。 そこで、本日は、復帰後の肩慣らしとして、この記事の内容をご紹介します。 例によって、全訳ではないこと、超訳になってしまっていることはお含みおきください。 では、はじめます。 

最高裁、FERCオーダー745の再審理決定

Davide Savenije 2015年5月4日

概要:

米国連邦最高裁判所は、連邦エネルギー規制委員会(FERC)が策定したオーダー745(以降、O745)に関する件で再審理を行うことを本日(5月4日)に決定した。 卸売電力市場のデマンドレスポンス(DR)に関してFERCが制定したO745は無効であるとの判決を下したワシントンDCの高等裁判所の判決を再検討することを決定したのである。

再審理にあたって、最高裁判所は、以下の検討を行うことを明らかにしている:

  • 電源と対等の支払条件でDR資源の卸売市場導入を促進し、結果的に卸売市場価格高騰を抑止するという、卸売電力市場の運用者に課そうとしたO745という制度が、連邦エネルギー法の下でFERCに付与された権限の範囲内で制定されたものであるかどうか
  • 高等裁判所が出した、FERCオーダー745の無効判決自体が間違っているのかどうか

Utility Diveのコメント:

今回の最高裁判所の決定により、従来の発電事業者と、DR信奉者の間で、公式な決闘の場が設定されたことになる。2014年5月に高等裁判所がO745の無効判決を下して以来、DR業界並びに卸売電力市場は「不確実性の世界」に身を置いてきた。今回、最高裁判所が、高等裁判所判決見直しの機会を設定してくれた訳だが、最高裁の法廷で正式な結論が下されるまで、市場関係者は、今しばらく、不安な日々を過ごさなければならない。

本件は、DRというものが卸売市場の問題か小売市場の問題かという議論に集約される。 O745自体は、卸売電力市場に参加するDR資源提供者に対する制度であるが、発電事業者の組合である発電事業者協会(Electric Power Supply Association:EPSA)は、「DRというのは、つきつめたところ、電気という商品を一般消費者に提供する小売サービスの一環として、電力供給側の求めに応じて電力消費を削減してくれたら対価を支払うという、小売市場の問題である」と主張している。

これに対して、FERC、オバマ政権、ならびにEnerNOCのようなDR提供者は、「O745は、卸売取引市場に適用する規則に過ぎず、FERCの制度策定権限の囲内である」と主張している。

最高裁での再審が決定したとはいえ、開廷は2015年10月。結論が出るまでには、それから9か月くらいの期間を要するものと考えられる。

 

 短いですが、今回は以上です。

このUtility Diveの記事で分かるように、『DR資源提供者に対して、電源と同額を支払うのは払い過ぎかどうか』ではなく、FERCオーダー745のような制度をFERCが策定する権限があるのかどうか、そのような観点でO745無効判決を下した高等裁判所の考えは正しかったのかというのが、最高裁の場で争われることになります。 そこで、年頭ブログで表明させていただいた、系統運用者、発電事業者、DRアグリゲータそれぞれの、『DR資源提供者に対して、電源と同額を支払うのは払い過ぎかどうか』に対する言い分を再検討する前に、次回はFERCの生い立ちと、権限範囲について、調べた結果をお話ししたいと思います。

以上