Dredging the River Lagan, Belfast – 2010/11 (5)

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PJMの第3回MOPR改定案に対して、控訴裁判所も、FERCの承認/否認の動きもみられないので、一旦、本ブログでの連載をストップしていましたが、FERCに動きがありました。

内容は、10月15日付けのFERCオーダー173 FERC ¶ 61,061をもって、PJMが提出したダ3回目のMOPR改定のCompliance Filingを承認するが、一部は訂正して30日以内に再度提出せよというものです。

ということで、詳しくは30日以内にPJMが再度Compliance Filingを行ってからご紹介したいと思いますが、PJMの第3回MOPR改定案のどの部分を承認(〇)し、どの部分を拒否(×)し、どの部分の書き直しを命じた(△)のか、ザックリ目次レベルでまとめてみました。

A. Resources Subject to the Expanded MOPR:△
We accept in part, and modify in part 。。。
州政府の補助金を受けている/受ける予定のすべての電源がMOPR適用対象となるようです

B. Definition of State Subsidy
1. General Matters:〇
We accept PJM’s proposed definition of State Subsidy
2. General Industrial Development and Local Siting Support:〇
We accept PJM’s compliance filing on this issue
3. State-Directed Default Service Auctions:?
We are persuaded by arguments raised on rehearing and therefore modify and set aside, in part
4. Bilateral Contracts with Self-Supply:〇
We accept PJM’s proposal to exclude from the MOPR certain voluntary bilateral contracts entered into by self-supply entities
5. FRR Revenue:〇
We accept PJM’s proposal that any revenue for providing capacity as part of an FRR capacity plan or through bilateral transactions with FRR entities will not be considered a State Subsidy.

C. Market Seller Offer Cap Provisions:×
We reject PJM’s proposal 。。。 beyond the scope of the compliance directive

D. Self-Supply Exemption:〇
We accept PJM’s compliance proposal

E. Renewable Portfolio Standard Exemption:〇△
We accept, in part 。。。with a modification as directed below

F. Demand Response Resource and Energy Efficiency Resource Exemption:〇△
We accept in part 。。。 and direct further compliance on one aspect 。。。

G. Competitive Exemption:〇×△
We accept, in part, reject, in part, 。。。and direct PJM to submit a compliance filing)

H. Default Offer Price Floors
1. General New Resource:〇×△
We accept PJM’s proposed gross CONE values 。。。with the exception of the energy efficiency value, which we reject。。。and directed PJM to submit a compliance filing
2. General Existing Resource:〇×
We accept PJM’s proposed gross ACR values 。。。we reject the Tariff language pertaining to the E&AS Offsets
3. Escalation Values for New Resources:〇△
・We accept PJM’s proposal to adjust the Tariff-stated gross CONE values for CT and CC resources
・We also accept PJM’s proposal to adjust the Tariff-stated gross CONE values for other resources
・We further reject, 。。。requests that PJM should update the default Net CONE values for certain resources annually.
4. Demand Response Resources:〇×
We accept in part, and reject in part, PJM’s proposal regarding default offer price floors for generation-backed demand response
5. Wind and Solar Resources:〇
We accept PJM’s proposed gross CONE and ACR values for wind and solar resources
6. Commercially Aggregated Resources:〇
We accept PJM’s proposal to calculate default offer price floors for commercially aggregated capacity resources

I. Resources Not Subject to the Must-Offer Requirement:〇
We accept PJM’s proposal

J. Resource-Specific Exception
1. General:〇×△
・We accept PJM’s proposal 。。。requests that PJM should update the default Net CONE values for certain resources annually
・We accept in part, and reject in part, PJM’s proposal regarding default offer price floors for generation-backed demand response
2. Transparency:〇
We accept PJM’s proposal

K. Certification:〇△
We accept PJM’s certification proposal, in part, also modify PJM’s proposal, in part, as directed below.

L. Fraud or Material Misrepresentations:〇△
We accept PJM’s compliance proposal, 。。。decline to direct PJM to remove Tariff references describing the Market Monitor’s role

M. Waiver Request and Auction Schedule:〇
We grant PJM’s request for waiver, as requested in the first compliance filing

N. Replacement Capacity:〇△
We accept in part, and modify, in part, PJM’s proposal regarding replacement capacity

O. Other:〇×△
we accept PJM’s proposal to change the name of Attachment DD section 5.14(h) to “Minimum Offer Price Rule for Certain New Generation Capacity Resources that are not Capacity Resources with State Subsidy,” as well as the addition to Attachment DD section 5.14(h)(1). We reject all other proposed changes in this section as outside the scope of this compliance filing

以上、ご覧いただければわかるように、A~Oまで、粒度の異なる項目に関して

①2019/12/19のFERCオーダー169 FERC ¶ 61,239で何を要求したか
②それに対してPJMが提出したCompliance Filingの内容はどうだったか
③それに対してステークホルダからどのようなコメント/反対意見が寄せられたか
④以上を踏まえてFERCはどのように決断したか

が、延々書き綴られているのですが、その内容それぞれをもっと細かくご紹介しても、PJMの第3回MOPR改定の全体像が見えず、かえって迷子になってしまいそうなので、目次項目に〇×△をつけてご覧いただきました。

このFERCオーダー(全156ページ)の最後にまとめとして、

  • PJMに対しては30日以内に更なるCompliance Filingを提出するよう命令したが、
  • 本日(2020年10月15日)をもって、PJMの第3回MOPR改定案を受理した。
  • ただし、FERCのGlick委員は反対意見を述べているので、その声明を添付する

との記載があり、6ページの反対声明文がつけられていましたので、こちらもご紹介します。


1.この時点では、言うべきことはそれほど多くは残っていない。この手続きは、不可解な決定を下した点でも、そこに至るまでの道のりでも、FERCがこれまでに経験した中で最悪のものの一つであった。本日のFERCオーダーは穴を深く掘り下げるだけだ。
したがって、私は上に述べたような理由から、可能な限り強く異論を唱え続ける。

2. とはいえ、本日の命令の一つの側面については、さらに言及する価値がある。それは、州のデフォルトサービスオークションに関するFERCの扱いである。2020年4月の再審理命令でFERCが州のデフォルトサービスオークションからの支払いに基づいて最低価格入札規則(MOPR)を適用するとした結論は、突飛な考えであった。MOPRの熱狂的な支援者でさえ、デフォルトサービスオークションにMOPRを適用することには反対してきた。その意味では、本日の限定的な再審理の許可と、特定のデフォルトサービスオークションが州の補助金の定義から除外される可能性があることは、良いニュースだったかもしれない。他の事情が同じならば、FERCに忍び寄る行政的価格設定体制を制限するものは、潜在的には良いことである。

3. しかし、委員会が一方の手で与えたものは、他方の手ですぐに奪い去ってしまうように見える。奇妙な脚注の中で、FERCは、ニュージャージー州のデフォルトサービスオークション(Basic Generation ServiceまたはBGSオークション)が、オークションの落札者が州の再生可能ポートフォリオ基準の要件を遵守しなければならない可能性に基づいて、州補助金を構成することを示唆している。FERCがBGSオークションのFAQシートをざっと見ただけでは、今後の手続きで何を意味するのか、あるいはFERCがこの議論を他の州のデフォルトサービスオークションにどのように適用するのかを正確に知ることは難しい。

4. それにもかかわらず、BGSオークションに関するFERCの議論は、各州のデフォルトサービスオークションに関する再審理の許可がほとんど無意味なものに終わると信じるに足る十分な理由を提供している。他のいくつかのPJM管内の州のデフォルトサービスオークションの説明では、デフォルトサービスを提供する事業体に適用される再生可能ポートフォリオ基準または類似のプログラムについても言及している。真面目に考えれば、BGSオークションに関するFERCの議論は、他の州のオークションからの支払いもMOPRのトリガーとなることを示唆しているように思える。それは、完全ではないにしても、今日の限定的な再審理の付与から得られる利益を著しく損なうことになる。

5. おそらく、州のデフォルトサービスオークションに関する委員会の議論で唯一明らかになっているのは、多数派が FPA の下で州が留保された権限を行使することを罰することに焦点を当てていることであろう。本日のオーダーはそのことを認めており、FERCはデフォルトサービスのオークションには関心がないと説明している。サービスオークションは、FERCが定めた州補助金の過大な定義の範囲内にすんなり収まると結論づけたにもかかわらず、それは、州が公共政策の目標を達成するためにデフォルトのサービスオークションを利用する可能性がある場合にのみ適用されるものである。
本日のオーダーは、州のデフォルトサービスオークションが、発電施設に対する州の予約権の行使と解釈される可能性がある場合にのみ、MOPRを発動することを示している。
また、この点を強調するかのように、FERCは、多数派が「合理的」と考える一定の制限をデフォルトサービスオークションに課しても、その制限が資源構成を調整しようとするものでない限り、MOPRを発動させることはできないことを明確にしている。

6. これらの結果、州のデフォルトサービスオークションが MOPR を逃れる唯一の方法は、州が再生可能なポートフォリオ基準を持たないか、または州がデフォルトサービスプロバイダーの基準への準拠を免除している場合である。これは、これらのプロバイダーに別の種類の優先順位を与えているように見える。なぜそれが望ましい結果となるのか、ましてや当委員会が懸念すべきことではないのか、その理由は説明されていない。それどころか、デフォルトサービスの議論は、この訴訟が、州が資源構成を形成しようとする努力を阻止しようとする協調キャンペーンの一環であることを、さらに強調しているにすぎない。

7. 最後に、おそらく本日のオーダーで最もひどい欠点は、デフォルトサービスオークションをMOPRの対象とすることで、最終的には脱落することになるのではないかと、FERCが取り組んでこなかったことであろう。数多くの当事者が、デフォルトのサービスオークションがMOPRの引き金となることが引き起こすであろう問題の数々を詳述している。これらの問題には、デフォルトサービスオークションが通常、関連するベース残留オークション(BRA)の後に行われるため、BRAの時点でどの資源が「補助金を受けている」のかを知ることが不可能であるという事実から、デフォルトサービスオークションから個々の発電機への支払いを追跡することがほぼ不可能に近いことまで、すべてが含まれている。本日のオーダーは、MOPRが少なくともいくつかの州のデフォルトサービスオークションに適用されることを示しているにもかかわらず、これらの問題については議論されておらず、ましてや解決されていない。今回の訴訟で、FERCは重要な問題を解決するに当たって、近代的な電力市場を機能させるために必要な慎重で詳細な分析を行うという、かつては十分に評価されていたFERCの評価をさらに損なうことになる。

8. PJMのMOPRに関する「冒険談」は、FERCの行き過ぎた行為のモデルケースとして後世に記憶されることになるだろう。多数派は、すでに物議を醸しているMOPRを、価格上昇とクリーンエネルギーを推進するための州の努力を抑制するための道具として徹底的に武器にしてしまった。その結果、持続不可能な構造物ができあがり、いずれは自重で崩壊することになるだろう。デフォルトサービスオークションに関するFERCの混乱と、本日のオーダーで示唆された最も重要な問題に対処しなかったことは、その避けられない結果を示す最新の指標にすぎない。現時点で唯一の真の問題は、FERCの州に対する横暴なアプローチが、その間にどれだけのダメージを与えるかということである。

以上の理由から、私は今回のPJMのCompliance Filing受理に関して謹んで反対を唱えるものである。

FERC委員 Richard Glick


以上、DeepLで機械翻訳したものに(FERCのことをCommissionとしているところが欧州委員会となる等)最低限手を加えてご覧いただきました。

このようなFERC委員が、FERC自身を批判するような反対声明を付したFERCオーダーというのは今まで見たことがなかったのと、ここまでのPJMのMOPR改定プロセスが遅々として進まなかった裏に何があったのか、少し調べてみましたので、以下、「おまけ」でご紹介したいと思います。


FERCは、ご存じの通り、連邦エネルギー規制委員会(Federal Energy Regulatory Commission)の略称で、「委員会」としては、議長(chairman)を含め5名以下の委員(commissioner)から構成され、任期は5年とされています。

ところが、2017年1月27日付けHYDROREVIEWのFERC News「Bay resigns from FERC after LaFleur named chair」によると、2017年1月トランプ大統領が就任した当時、FERCには議長を含めて3人の委員しかいなかったにも関わらず、トランプ大統領がCheryl A. LaFleur委員を議長代行(acting chairwoman)に指名した直後、当時のNorman C. Bay議長が辞意を表明。委員の数がCollette Honorable委員と2名になってしまったようです。そして、7月5日付けのFERC News「FERC update: Hill retires, Honorable resigns, new commissioners being considered」によると、6月末にもう1人のCollette Honorable委員も任期を残して辞任。とうとう委員の数は議長代行1人になってしまい、FERCオーダーを出せる状態ではなかったことがわかりました。

8月になってやっとNeil Chatterjee氏とRobert Powelson氏のFERC委員就任が米国上院で承認され、Chatterjee氏が議長に就任しますが、Chatterjee氏は、それまで上院共和党Mitch McConnell党首のエネルギー政策顧問だったようです(2020年9月現在も在職中)が、Powelson氏は、ペンシルバニア公益事業委員会の委員で全米規制公益事業委員会の会長を務めていたようです(翌年8月に辞任)。続いて、11月に上院エネルギー・天然資源委員会の民主党の顧問弁護士をしていたRichard Glick氏、12月にエネルギー分野の法律専門家Kevin McIntyre氏もFERC委員となり、McIntyre氏が議長に就任。2014年8月以来の5人体制となり、2018年も5人態勢が続いていましたが、8月Powelson委員が辞任。10月、病気のためMcIntyre氏が辞任(翌年早々病没。Chatterjee議長が返り咲き)。12月にエネルギー法専門の弁護士/政策カウンセラーでエネルギー省の政策局にも在籍していていたBernard McNamee氏が委員に加わりましたが、2019年8月には任期満了でLaFleur委員が辞職し、再び3人体制になった上、弊ブログ「その8」でお伝えしたように、Glick委員は、以前の雇用者であるAvangridが関与するため、PJMのMOPR関連事案には関われなかったという背景があったようです。今年に入って3月に、以前控訴裁判所で法廷書記官もしていたことがありFERCの法務顧問をしていたJames Danly氏(共和党系)が委員に加わりますが、9月にMcNamee委員が辞任し、現在FERCは3人体制のようです。

また、Glick氏が民主党系であるのに対して、他の2名が共和党系で、トランプ政権のエネルギー政策がFERCの振る舞いに影響を与えているということもあるようです。Glick委員の反対声明の中で、「FERCに忍び寄る行政的価格設定体制」(原文:Commission’s creeping administrative pricing regime)は、その辺りのことを指しているのではないかと思われます。


以上、今回は10月15日に発行されたFERCオーダーでPJMの第3回MOPR改定案がやっと日の目を見ることになったことをご報告しました。

第3回MOPR改定の詳しい内容は11月半ば以降PJMがCompliance Filingした内容が明らかになれば、その時点でご紹介したいと思います。

#MOPRの内容が確定するのが11月の米国大統領選挙後というのも、何か関係があるのでしょうか?

最後に、10月15日発行のFERCオーダーを付け加えた、第1回MOPR改定~第3回MOPR改定の流れを図にまとめ「MOPR改定の経緯-その4」としましたので、ご覧ください

 

終わり