出典:European Future Internet Portal

前回ご紹介したRWIの資料が掲載されていた「European Future Internet Portal」というポータル(以降、EFIポータル)は、そもそもどういう組織が運営しているのか調べてみました。

EFIポータルの「About」によると、以下のとおりです。

  • このEFIポータルは、インターネットの将来に関するヨーロッパの活動と議論の場を提供するフォーラムである
  • 将来のインターネットに関するヨーロッパのリサーチプロジェクトの最新状況を伝えるものである
  • さらに、ディスカッションの場も提供しており、将来のインターネットに興味を持っている者は誰でも参加することができる
  • 本ポータルの目的は、将来のインターネットを形作るに当たって、ヨーロッパの種々の領域で行われている努力の統合を支援することである
  • 欧州の第7次枠組計画(EC FP7)のEIFFELプロジェクトから資金提供を受けている
  • また、ヨーロッパでのスマートグリッド推進母体でもある欧州テクノロジー・プラットフォーム(European Technology Platform:ETP)のネットワーク化及び電子化されたメディア(Networked and Electronic Media:NEM)および、欧州の通信機器メーカーとオペレータ大手を結集した共同研究開発プロジェクト(Cooperation for a sustained European Leadership in Telecommunications’ Cluster:Celtic)のEUREKAクラスタからも支援を得ている

ポータルとしての運営母体とスポンサーは、これで分かったのですが、具体的に、どういったメンバーがいるのか良くわかりません。

次に、EFIポータルの「Home」を見ると、「欧州将来インターネット構想(The European Future Internet Initiative:EFII)」とあり、どうやら、そこでまとめられた/まとめようとしている、「欧州の?将来のインターネットのあるべき姿」と、その過程を公開する「場」が、EFIポータルということのようです。
では、EFIIとは一体どういう組織なのか、今度はEFIIの、「Home」の内容を見てみました。

欧州将来インターネット構想

◆ 今こそヨーロッパは行動を起こそう

今日、インターネットは次のような広い領域のアプリケーションやサービスにとって不可欠になっている:①健康、②高齢化とインクルージョン、③エネルギー効率、④環境への影響、⑤輸送、⑥製造、⑦セキュリティおよび⑧コンテンツ。
ネットワーク化された企業間連携は既に現実のものとなっており、急激にeビジネス、ディジタル生産、社会ネットワークが発展してきている。我々の社会や文化のディジタル化は不可避である。すべての情報がデジタル化した世界に近づくに当たって、人々がそれらにアクセスしたいやり方でアクセスできるようにする必要がある。(そのようなアクセスを可能とする)インフラ(=将来のインターネット)は、今後も増え続ける需要に適合する必要がある。すなわち、利用者レベル、サービスおよびアプリケーションのレベルからネットワークレベルまで、すべての構成要素を考慮に入れ、全体的な観点から将来のインターネットに取り組む必要がある。

将来のネットワーク社会および経済をサポートするのに必要なデバイス、インターフェース、ネットワークおよびサービスを開発するためには、学会やイノベーティブな専門家の支援も得て、ヨーロッパ産業界の優秀なステイクホルダーが一堂に会して、マルチ・ディシプリナリー(多専門的)アプローチでリードしていかねばならない。

現在、EUのプログラム(FP7のような)は、中長期の社会・技術課題に対応すべく新技術の開発に努力している。その重要な研究活動を補足するため、我々は、インターネットを将来に向けてどのように変身させるかという課題に取り組むことが必要であると考える。我々が提案する官民パートナーシップ (Public Private Partnership: PPP)では、既知の新興技術(=インターネット)を使用する必要条件(スケールや利用者受容性のような問題)の検討や、ノンテクニカルな問題に起因する障害の特定を行う。

◆ 欧州将来インターネット構想

欧州将来インターネット構想(European Future Internet Initiative:EFII)は、ヨーロッパの主要ICT会社16社によって設立されたイニシアチブであり、ヨーロッパの将来のインターネットの課題に取り組むに当たって、新たなアプローチの採用を目論んでいる。

すなわち、様々なドメインに共通する特徴を押さえつつ、個々の異なるドメインのビジネスプロセスをフルサポートできるインターネットを開発するため、いろいろなアプリケーションドメインとICTの専門知識を寄せ集めた全体論的アプローチを採用している。

◆創立メンバ:

http://initiative.future-internet.eu/efii-organisation/founder-members.html 参照
※「Home」での説明では主要ICT企業16社となっていますが、15社しかありません

◆ 参加組織:

http://initiative.future-internet.eu/efii-organisation/participants-list.html
下表は、参加組織を産官学で分類したものです。欧州連合外の参加組織を背景色=黄色としています。余談になりますが、トルコは、経済圏としてはまだEUに加盟していないものの、将来のインターネットを検討する上では、すでに欧州の組織の一員となっていることが分かります。

ということで、欧州に拠点を置く15のICT企業が中核となり、産学官協働で、欧州が考える将来のインターネットのあるべき姿をまとめましょうというのが、「欧州将来インターネット構想(The European Future Internet Initiative:EFII)」で、そのインターネット上での議論と、その進行状況の公開の場が、「European Future Internet Portal:EFIポータル」ということがわかりました。

なお、通常は、EFIポータル上で情報公開/議論を行うのですが、同じくEFIポータルの「Home」を見ると、将来のインターネットを考える会(Future Internet Assembly:FIA)というのがあり、毎年2回メンバーが集まって今後のアクションを決めたりするようです。

また、EFIポータルで取り扱う内容は、大きく次の4つに分かれており、それぞれ、WIKIを利用して、日々の議論や、FIAのアジェンダ検討、前回紹介したようなPosition Paperの作成などを行っているようです。

以上、今回は、RWIに関連して、ヨーロッパでの将来のインターネットを検討している組織について、ご紹介しました。

終わり