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やりました! オバマ政権は、ワシントンDCの高等裁判所が下したFERCオーダー745の無効判決に対して、最高裁への上告を実施したのです。

本日は、米国でのデマンドレスポンスの行く末を左右しかねない高裁判決に関するUtility Diveの最新ニュース「オバマ政権、FERCオーダー745の件で最高裁に上告」を紹介します。
例によって、全訳ではないことと、個人的な思い入れが入っているかもしれないことに関してはお含みおきください。

では、はじめます。

オバマ政権、FERCオーダー745の件で最高裁判所に再審請求

2015年1月16日 Gavin Bade

米国司法省は、木曜日(15日)連邦エネルギー規制委員会(FERC)が発令したオーダー745を無効としたワシントンD.C.高等裁判所の判決を破棄するよう最高裁判所に求める上告を行った。
59ページに渡る上告文書には、FERCがデマンドレスポンス(DR)普及促進の一環として制定した規制(オーダー745、以下O745)を無効とした高等裁判所の判断は、連邦電力法(Federal Power Act :FPA)の誤解に基づいていると指摘されている。
昨年5月、高等裁判所の裁判官は、州内の小売市場を規制する州規制委員会の権限をO745が侵害しているとし、FERCは卸売市場を規制する役割に徹するべきだと判決していた。
これに対して、(小売市場ではなく)卸売市場への参加者であるDRプロバイダーは、DRプログラムに協力して負荷削減を実施してくれた消費者への見返りをどうすべきかという方法論を述べたものがO745であり、決して小売市場への規制を意図したものでないと主張している。

DR業界では、本件でホワイトハウスが上告するだろうということは、分かっていた。なぜなら、昨年12月開催されたスマートグリッド関連のカンファレンスで、大統領上級顧問のJohn Podesta氏がワシントンDCの高等裁判所の判決に対して不満を表明していたからである。
しかし、一方で、高等裁判所の判決はDR業界および電力市場に大きな波紋を起こし、今後のDR市場成長予測にも暗雲が立ち込めていたことは事実である。

上告文書にもどる。
FERCは、電力小売市場の規制に何ら関心を持っていない。
O745は、卸売市場の構成員で、FERCの規制対象である、DRプロバイダーを対象とし、卸売市場での価格に対して規制をかけたもので、一般消費者対象のDR価格や、分散電源の小売市場での買い取り価格を規制するようなものではない。
今回の高裁判決は、DRに関する「規制の狭間」を産み出してしまった。
すなわち、州規制機関は、もともと卸売市場のDR資源への規制を禁じられていた。今回の判決でFERCも卸売市場でのDR価格に規制がかけられないとしたら、卸売市場の価格メカニズムに対する規制を行える機関は存在しないことになる。
現在の連邦電力法ではDRの規制に関するFERCの権限範囲、州規制機関の権限範囲があいまいであるので、政府にその法解釈に関する権限が与えられる(ワシントンD.C.高等裁判所の判決を破棄する)ことを主張する。

現時点で、最高裁判所は、再審理するかどうかを明らかにしていない。

 

今回は短いですが以上、ホットニュースをご紹介しました。

まだ、最高裁判所が再審理するかどうかも分からない訳ですが、昨年末米国で仕入れた「消息筋」の情報によると、 今回のように司法局の法務次官(Solicitor General)が最高裁に上告を行った場合、7割方高裁判決が覆されるとのことでした。

再審議が始まれば、少なくとも判決が出るまで「FERCオーダー745は無効」という高裁判決はペンディング状態となるので、結果的にオーダー745が生きのびる形になる。そして、最高裁判決で高裁判決が覆されて、晴れてFERCオーダー745が復活する - というシナリオになるのではないかと思われます。

なお、折角なので、今回はこれで終わりとしますが、次回はブログタイトルにあるように、FERCオーダー745のこれまでの顛末を時間をさかのぼって解説したいと思います。

 

以上