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去る10月26日、内閣府原子力委員会 新大綱策定会議 (第8回)が開催されました。この会議体は、新たな原子力政策大綱の策定を目指して平成22年11月に組織されたのですが、3月11日の福島原発事故を受けて一旦中断。今後一年を目途に新しい原子力政策大綱をとりまとめるべく、9月から審議を再開しています。

第6回会合(9月27日開催)では、東京電力福島原子力発電所事故以降の原子力を取り巻く状況について等が、第7回会合(10月3日開催)では、再開後の新大綱策定会議において議論すべき点について、原子力発電の安全性について等が議論されています。

先日の第8回会合では、原子力発電の安全性について、核燃料サイクルコスト、事故リスクコストについて等が議論されていますが、この回から、議事録が作成されるまでの措置として、委員会の模様が映像/音声配信されていますので、ご興味のある方は、映像あるいは音声のハイパーリンクをクリックしてみてください。

そして、同じく10月26日、経済産業省総合資源エネルギー調査会 基本問題委員会第2回会合が開かれ、5人の委員(下記)からエネルギー基本計画の見直しについて(ベストミックスを考える視点等)でのプレゼンと、それに基づく質疑等が行われています。
1)阿南委員(全国消費者団体連絡会事務局長)

原子力発電をゼロに!今後のエネルギー政策に関する問題提起 等

2)飯田委員(NPO法人環境エネルギー政策研究所所長)

「ベストミックス」から「持続可能なエネルギー政策」へ 等

3)橘川委員(一橋大学大学院商学研究科教授)

エネルギー基本計画の見直しについて~ベストミックスを考える視点~

4)崎田委員(ジャーナリスト・環境カウンセラー、NPO法人持続可能な社会をつくる元気ネット理事長)

地域エネルギーによる日本再生を基盤に描く、エネルギー将来ビジョン

5)高橋委員(富士通総研主任研究員)

電力システムの自律分散化~安全・安定のために市場とITの活用を

それぞれ、聞き応えのある内容でした。

それに先立ち、第1回会合は10月3日に開催されていますが、この委員会は、国家戦略室エネルギー・環境会議第3回会合(7月29日開催)での決定に基づき、3.11で明らかとなった我が国のエネルギーシステムの抱える問題をクリアするため、昨年(2010年)6月改定されたばかりのエネルギー基本計画(2030年度の発電電力量に占める原子力発電の割合を53%としていた)をゼロベースで見直す目的で組織されたものです。

これら2回の会合は、当日ニコニコ生放送で流され、今も視聴できます。脱原発⇔原発推進の二項対立の議論を行うべきではないとしながらも、結構委員の先生方の間での意見表明・質疑応答には緊迫感があり、見ごたえのある内容ですので、ご興味のある方は、第1回映像あるいは第2回映像のハイパーリンクをクリックしてご覧ください。会議資料も、そちらからダウンロードできるようになっています。

落としどころはまだ定かではありませんが、福島原発の事故を受け、原子力発電を前提とした従来のエネルギー政策の見直し作業が着々と進みだしているのを感じました。

本ブログでは、『固まってきた?日本版スマートグリッドの中身』のブログシリーズで日本版スマートグリッドの行方を見守るとともに、

• スマートメーター制度検討会報告書について思うこと

• スマートメーター制度検討会報告書について思うこと-その後

• スマートメーター導入に当たっての課題(~3.11後のわが国の現状と課題の再確認~)

で、国家戦略室エネルギー・環境会議第3回会合での決定事項までの変遷をフォローし、

•  『2020年代の早い時期に、双方向通信のできるスマートメーターを原則100%設置する』というエネルギー基本計画の目標は見直さなくて良いのか?

•  第3回エネルギー・環境会議決定の中にある『次世代電力計を集中整備 5年で需要の8割網羅』の8割という数字の根拠はあるのか?

と、スマートメーターから見た問題点を指摘させていただいてきました。

基本問題委員会では、電力供給の「ベストミックス」について、エネルギー基本計画をゼロベースで見直すということですので、今年初めに一旦固まったように見えた2020年型日本版スマートグリッドの行方にも大きく影響が出てきそうですので、これからもウォッチしていこうと思っています。

 

今回は、非常に短いですが、これで終わりです。

 

P.S.

上記の通り、今、エネルギー政策の見直しに伴い、日本型スマートグリッドの中身が変わろうとしています。そこで、もう一度、これまで考えられていた日本型スマートグリッドとはどういうものだったのか、経産省の関連研究会・検討会等の流れをまとめてみました。

今まで、いろいろなセミナーを受講しても、日本型スマートグリッドと日本の原子力行政の関わりについてはあまり話されることがなかったと思いますが、そこにも触れた内容になっています。弊社ホームページ「調査実績No.19として登録していますので、ご興味のある方はご覧ください。

 

終わり